感染症
市中肺炎:
本邦における肺炎の死因順位は第4位と依然高く、重要な疾患である。肺炎での薬剤耐性菌の蔓延は、肺炎が感染症のなかでも最も頻度の高い疾患であるため、肺炎治療のみならず他の感染症治療に与える影響も大きい。当グループでは、市中肺炎で最も頻度の高い肺炎球菌の薬剤耐性に関して、その頻度、分子疫学、クローン伝播について検討してきた。今後も市中肺炎の疫学調査を継続し、本邦での肺炎の実態を明らかにしていく予定である。
抗酸菌感染症、真菌感染症:
肺結核の減少とともに肺非結核性抗酸菌症の頻度が増加しているが、その発病、進展、治療など不明な点が多い。宿主、細菌の両面からこの疾患の病態の解明に 取り組んでいる。また、京大病院肝胆膵移植外科との共同研究で生体肝移植レシピエントの術後肺アスペルギルス症の病態、リスクファクターを明らかにしてきた。京大病院では種々の移植医療が行われており、今後も他科とも協力し、日和見感染症の側面をもつ抗酸菌感染症、真菌感染症の制御のための臨床研究を行っていく。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における肥満関連分子と重症化・予後に関する検討のお知らせ
① 研究の名称
本研究は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における肥満関連分子と重症化・予後に関する検討」といいます。京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会での倫理審査を経て、病院長により許可されている研究です。
② 研究の目的(試料・情報の利用目的及び利用方法)
新型コロナウイルス感染症は、肥満・糖尿病患者で重症化しやすいと報告されています。本研究では肥満・糖尿病と免疫に関わりのある分子が新型コロナウイルス感染症においてどのように関与しているかを調査します。重症化する方としない方で肥満・糖尿病に関わる分子の量に差があるか検討します。
③ 利用する試料・情報
本研究は京都大学医学部附属病院に新型コロナウイルス感染症で入院された患者様を対象にしています。京都大学医学部附属病院に新型コロナウイルス感染症で入院した際に他の臨床研究に参加いただき血液を提供いただいた患者様で、残余検体の二次利用に同意いただいた方を研究に登録させていただきます。本研究では血液検体のほか、年齢、性別、基礎疾患、治療経過などの情報を使用します。個人が特定できる情報は研究には使用しませんので、本研究から個人情報が漏出することはありません。
④ 対象となる試料・情報の取得期間
2020年1月1日~倫理委員会承認日
⑤ 研究責任者および試料・情報等の管理責任者
京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 講師 伊藤功朗
⑥ 研究実施期間
京都大学医学部附属病院医の倫理委員会承認後から3年間
⑦ 研究への利用を停止する場合
患者様が研究への参加を希望されない場合、得られた情報の研究への利用をいつでも停止することができます。研究に不参加となった場合も、患者様に不利益が生じることはありません。申し出をされる場合は本人又は代理人の方より、下記の連絡先までお問い合わせください。
⑧ 研究資金・利益相反
この研究にかかる費用は、主に当院呼吸器内科で管理する研究資金を利用します。本研究に関わる企業・団体はありません。利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査しています。
⑨ その他
本研究に関係する全ての研究者は、「ヘルシンキ宣言」及び「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に従い研究を実施します。
⑩ 連絡先
研究利用の停止、そのほか質問がありましたら、下記の担当者までご連絡ください。
相談窓口:
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
電話番号 075-751-4748
e-mail ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp
研究内容および参加撤回についての問い合わせ:
京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 伊藤功朗
電話番号 075-751-3830
e-mail konai@kuhp.kyoto-u.ac.jp
コロナウィルス肺炎(CoVP)とインフルエンザウィルス肺炎(InVP)、非ウィルス性市中肺炎(nVCAP)の臨床像に関する多施設共同研究のお知らせ
研究の背景と目的
私たちはコロナウィルス肺炎の病態をインフルエンザウィルス肺炎や非ウィルス性市中肺炎と比較する研究を行っています。市中肺炎とは、医療関連行為を受けていない方に家庭で起こった肺炎です。2019年中国武漢に端を発したコロナウィルスによる肺炎は世界的な拡大をみせつつあります。現在あるコロナウィルス肺炎のデータの多くは中国での記録によるものですが、一般的なウィルス性肺炎の性質を示したものも多く、 コロナウィルス以外のウィルス性肺炎(これまでの日本では多くはインフルエンザウィルス肺炎になります)や非ウィルス性の市中肺炎との比較はなされておらずその臨床的特徴・違いは明らかではありません。そこで、京都大学および関連の病院に入院されたコロナウィルス肺炎もしくはインフルエンザウィルス肺炎や非ウィルス性市中肺炎の患者さんを多人数集積して、コロナウィルス肺炎の診療に役立つ情報や日本のコロナウィルス肺炎の特徴を見出すことを目的としました。
対象となる患者さんと方法
この研究は、倫理委員会での承認から2年間までにNPO法人 西日本呼吸器内科医療推進機構の研究参加病院に入院され、コロナウィルス肺炎として治療を受けられた(または、治療を受けられる)患者さんを対象として登録し、患者さんのカルテを閲覧し、病状や基礎疾患、検査データ、画像所見、原因病原体、治療効果などのデータを解析するものです。解析の期間も含めた研究実施期間は5年間を予定しています。カルテの閲覧は医師が行い、カルテが施設外に持ち出されることはありません。調査には患者さんのお名前は使用せず、番号で管理されますので、個人情報(お名前や住所など個人が特定できる情報)は保護されます。入院時の年齢、性別、体温や採血の結果、また最終的な転帰などをデータとして京都大学呼吸器内科において管理します。
拒否の希望のある患者さんへ
本研究は京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会の審査を受け、研究機関の長の許可を受けて実施しているものですが、対象となる患者さんにつきましては、ご異存がなければ調査に加えさせていただきたくお願いします。もしそれを望まれない場合やご質問がある場合は下記までご連絡ください。ご協力いただけない場合でも、今後の診療に不利益はきたしません。なお、研究結果は、学会や出版物として公表することがあります。
研究資金と利益相反
研究資金は京都大学呼吸器内科の研究費によって賄われ、企業との利益相反はありません。利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査・管理もされます。
ご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
予定共同研究機関(各病院に直接問い合わせることはお控えください)
赤穂市民病院内科、医師 村瀬公彦
大阪府済生会中津病院呼吸器内科、部長 長谷川吉則
岸和田市民病院呼吸器内科、部長 高橋憲一
京都市立病院呼吸器内科、部長 江村正仁
倉敷中央病院呼吸器内科、部長 石田直
神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科、部長 富井啓介
神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科、部長 冨岡洋海
公立豊岡病院組合立豊岡病院呼吸器内科、医長 中治仁志
静岡市立静岡病院呼吸器内科、 部長 山田孝
杉田玄白記念公立小浜病院内科、医師 伊藤功朗
田附興風会医学研究所北野病院呼吸器内科、部長 福井基成
天理よろづ相談所病院呼吸器内科、部長 羽白高
日本赤十字社和歌山医療センター呼吸器内科、部長 杉田孝和
兵庫県立尼崎総合医療センター呼吸器内科、部長 平林正孝
福井赤十字病院呼吸器内科、部長 赤井雅也
洛和会音羽病院呼吸器内科、部長 土谷美知子
高槻赤十字病院呼吸器内科、部長 北英夫
綾部市立病院、医師 濱田哲
神鋼記念病院呼吸器内科、部長 大塚浩二郎
寺田内科・呼吸器科、院長 寺田邦彦
西陣健康会堀川病院内科、部長 安井浩明
国立病院機構京都医療センター呼吸器内科、部長 三尾直士
福井県立病院呼吸器内科、部長 小嶋徹
京都桂病院呼吸器内科、部長 西村尚志
京都大学医学部附属病院呼吸器内科、教授 平井豊博
研究責任者
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 伊藤功朗
連絡先:075-751-3830、メール:isaoito@kuhp.kyoto-u.ac.jp
京都大学医学部付属病院の相談窓口
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
(Tel)075-751-4748
(E-mail)ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp
本研究で収集した試料・情報は、同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いる可能性があります。他の研究への二次利用および他研究機関へ提供する際は、新たな研究計画について倫理審査委員会で承認された後に行います。また、ホームページ上で、研究の目的を含む研究実施の情報を公開し、研究対象者が拒否できる機会を保障します。
京都大学医学部附属病院を受診し、肺炎と診断された患者さんへ
「成人市中発症肺炎(COP)における肺炎球菌性肺炎の疫学研究」のご案内
このたび、京都大学医学部附属病院呼吸器内科では、長崎大学熱帯医学研究所と共同で、標記の研究を行います。以下に概要をお示ししますので、お問い合わせ、参加拒否のご意向がありましたら、下記の連絡先までご連絡をお願いします。
研究概要
背景と目的:肺炎球菌は、最も頻度の高い肺炎の原因菌です。 65歳以上の高齢者には、この肺炎球菌に対するワクチンが定期接種となっています。肺炎球菌には90種類以上の型があり、現在の定期接種ワクチンはその中で23種類を予防するものです。また、肺炎球菌に対して本来効くはずの抗菌薬(例えばペニシリンなど)が効かないという薬剤耐性の問題が起こっています。肺炎球菌の型と薬剤耐性の関係や、これらの広がりの様子については、まだよくわかっていません。そこで、この研究では、患者さんの喀痰や血液の検査で出てきた肺炎球菌を用いて、これらの問題について研究することを目的とします。
研究対象者:2019年4月から2024年3月の期間に肺炎球菌による肺炎と診断された18歳以上の患者さん
研究に用いることがら:検査で検出された肺炎球菌(菌株)と、患者さんの臨床データを用いて研究します。患者さんのお名前などの個人情報は研究には用いません。
患者さんにとって、この研究にご協力いただくことで利益も不利益もありません。また、ご参加を拒否されても何ら不利益はありませんし、ご参加いただくことに対する謝礼も発生しません。
この研究は、長崎大学と京都大学の医の倫理委員会で審査され、承認を受けたものです。
連絡先
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 伊藤功朗
電話:075-751-3830
Health-care-associated pneumonia (HCAP)の臨床像に関する調査のお知らせ
私たちは医療関連肺炎(HCAP) の病態を市中肺炎(CAP)と比較する研究を行っています。
CAPとは、医療関連 行為を受けていない方に家庭で起こった肺炎です。HCAPとは、アメリカ胸部疾患学会が2005年に出版したガイドラインで肺炎の新たなカテゴリーとして 提唱されたもので、何らかの医療関連行為を受けておられる患者さん(以下の範囲に入る患者さん)に起こった肺炎のことを言います。
(1) 過去90日間で2日以上の入院歴がある。
(2) 老人ホームなどの長期療養施設にて発症した。
(3) 過去30日以内に抗生剤や抗癌剤の点滴治療や創傷治療を受けた。
(4) 透析治療中である。
(5) 外来通院中である。
これまで、HCAPについては多人数の患者さんのデータを解析した研究は少なく、まだその臨床的特徴は明らかではありません。そこで、京都大学および関連 の病院に入院されたHCAPもしくはCAPの患者さんを多人数集積して、 HCAPの診療に役立つ情報を見出すことを目的としました。
この研究 は、2010年12月までに京都大学医学部附属病院および一部の関連病院(約10病院)に入院され、HCAPもしくはCAPとして治療を受けられた(また は、治療を受けられる)患者さんを対象とし、患者さんのカルテを閲覧し、病状や基礎疾患、検査データ、原因菌、治療効果などのデータを解析するものです。 カルテの閲覧は医師が行い、カルテが施設外に持ち出されることはありません。調査には患者さんのお名前は使用せず、番号で管理されますので、個人情報(お 名前や住所など個人が特定できる情報)は保護されます。
本研究は京都大学における医の倫理委員会で承認を受けたものですが、対象となる患者さんにつきましては、ご異存がなければ調査に加えさせていただきたくお 願いします。もしそれを望まれない場合やご質問がある場合は下記までご連絡ください。ご協力いただけない場合でも、今後の診療に不利益はきたしません。な お、研究結果は、学会や出版物として公表することがあります。 ご理解とご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
研究責任者
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 伊藤功朗
TEL: 075-751-3830
e-mail: isaoito@kuhp.kyoto-u.ac.jp