臨床研究課題名:膠原病を除く慢性線維化性間質性肺炎のCT画像診断における人工知能の有用性に関する多施設共同研究

我々のグループでは、慢性間質性肺炎の進行に関連する要因について、他の医療機関と協力して研究を進めています。
以下の文をお読みになり研究の趣旨に賛同いただける場合、ご協力願えますと幸いです。

1. この研究を計画した背景

間質性肺炎とは肺が固くなり小さくなり、咳や息切れなどを起こす病気です。間質性肺炎には種類がたくさんあって、それによって治療薬の選択が変わります。間質性肺炎の種類を診断するには、CTという画像検査が重要ですが、現在の医学では全身麻酔の手術で肺の一部を3cmくらいの大きさでとらないと診断できません。
人工知能とは、人工的にコンピュータ上で人間と同様の知能を実現させようという試み、或いはそのための一連の技術を指します。近年、人工的な知能の実現のため、「ニューラルネットワーク」という方法で深層学習(ディープラーニング)と呼ばれる機械学習が発達してきています。
この研究は、間質性肺炎の方のCT画像と確定診断名を結び付けて人工知能に学習させ、診断に外科的肺生検を行わないですむような方を増やすための研究です。

2. この研究の目的

この研究は、手術をおこなって診断がついた方のCT画像を人工知能に学習させ、医師がCT画像をみて診断した疾患と、どの程度一致するかを確かめることが目的です。人工知能が医師の判断を上回った場合、診断に外科的肺生検を行わないですむような方を増え社会に貢献したことになります。

3. 共同研究機関名・研究責任者名

<研究責任者>
名古屋市立大病院 呼吸器・アレルギー・リウマチ内科
大久保仁嗣

<共同研究機関および各施設研究責任者>
1)名古屋大学 情報科学研究科 メディア科学専攻 森研究室
森 健策
2)京都大学医学部付属病院 呼吸器内科
半田 知宏
3)国立病院 近畿中央胸部疾患センター 呼吸器内科
井上 義一
4)東邦大学医療センター大森病院 呼吸器内科
本間 栄
5)産業医科大学病院 呼吸器内科
小田 桂士
6)NHO姫路医療センター 呼吸器内科
河村 哲治
7)三重中央医療センター 呼吸器内科
井端 英憲
8) 三重大学 呼吸器内科
小林 哲
9)東北大学病院 呼吸器内科
小林 誠
10)茨木東病院 呼吸器内科
三浦 由記子

<京都大学における研究組織> 
実施責任者:半田 知宏    呼吸器内科 助教
分担研究者:平井 豊博    呼吸器内科 教授
  池添 浩平    呼吸器内科 医員

4. この研究の方法

この研究では、まず300人の間質性肺炎の方のCT画像と確定診断名を結び付けて人工知能に学習させます。そして間質性肺炎を専門とする医師と、間質性肺炎を専門としない一般の医師と、できあがった人工知能の診断率がどの程度かを数学を使って解析します。

5. 資料の入手・閲覧

本研究で使用する診断名、診断日、年齢、性別、身長、体重、肺機能検査、喫煙歴など臨床情報は各施設の診療録(カルテ)から入手します。胸部CTの画像データも施設で保存されているデータを利用します。これらのデータは各施設で匿名化を行い、個人情報が漏れないようにします。その後、各参加施設のデータを名古屋市立大学呼吸器・免疫アレルギー内科に郵送します。人工知能に学習させるデータは外付けハードディスク、USBメモリに移し、名古屋大学情報科学研究科 メディア科学専攻 森研究室に郵送します。

6. 研究期間

本研究の研究期間は、京都大学医の倫理委員会の承認日から2019年6月までです。

7. この研究に参加しなくても不利益を受けることはありません。

この臨床研究への参加はあなたの自由意思によるものです。この臨床研究に同意された後であっても、今回追加された解析にあなたの保存されたCT画像を使用することについて、いつでも参加を取りやめることができます。途中で参加をとりやめる場合でも、今後の治療で決して不利益を受けることはありません。

8. あなたのプライバシーに係わる内容は保護されます。

試験を通じて得られたあなたに係わる記録が学術雑誌や学会で発表されることがあります。しかしCT画像は匿名化した番号で管理されるため、得られたデータが報告書などであなたのデータであると特定されることはありませんので、あなたのプライバシーに係わる情報(住所・氏名・電話番号など)は保護されます。

9. 得られた医学情報の権利および利益相反について

本研究により予想される利害の衝突はないと考えています。本研究に関わる研究者は「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」を遵守し、各施設の規定に従ってCOIを管理しています。

10. この研究は必要な手続きを経て実施しています。

この研究は、公立大学法人 名古屋市立大学大学院 医学研究科長および名古屋市立大学病院長が設置する医学研究倫理審査委員会(所在地:名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1)および京都大学医学部附属病院 医の倫理委員会(所在地:京都市左京区聖護院河原町54)において医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、実施することが承認されています。またこの委員会では、この試験が適正に実施されているか継続して審査を行います。

11. 本研究について詳しい情報が欲しい場合の連絡先

この臨床研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。

病院相談窓口:
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科 半田知宏 
電話:075-751-3830 (代)、FAX 075-751-4643 (代)
総務課 研究推進掛 
電話:075-751-4899 E-mail: trans@kuhp.kyoto-u.ac.jp


間質性肺炎、サルコイドーシスの診療によって得られた知見は学会や論文で発表し、これらの病態の重要性を広く啓蒙している。間質性肺炎においては、血液凝 固異常とともに血小板機能にも注目し、循環器内科との共同研究で血小板凝集能と臨床所見との関連についての研究を行っている。

また、臨床研究にも重点をおき、特発性肺線維症において肺高血圧症の存在や拡散能の低下が生命予後の悪化に関連することを報告した(図1)。

サルコイドーシスに関しては、これまで2000例近くに及ぶ診療実績を背景に、疾患の収束と進展に関する疫学的、免疫学的研究実績を蓄積してきた。

サルコイドーシスの病態においては病変局所でのリンパ球の活性化が重要であることが明らかとなっている。当科ではリンパ球の活性化に関与する共刺激分子に注目し、遺伝子多型や気管支肺胞洗浄液の表面マーカーについての研究を行っている。

また、気道疾患に関して当科で従来行ってきたオリジナルソフトによるCTの画像解析を間質性肺疾患にも応用し、ヒストグラム解析(図2)のパラメーターの臨床的意義、予後との関連について検討を行っているところである。

これらの臨床、研究活動が評価され、2006年度千葉保之・本間日臣記念賞、2007年度京都府医師会勤務医部会学術奨励賞を受賞した。